「三中井を歴史にさかのぼる」 > U 三中井を鳥瞰する





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 朝鮮の京城では1929年に、朝鮮総督府の「施政二十年」を記念した朝鮮博覧会がひらかれた。この「未曾有の賑い」にあたって三中井は、吉田初三郎の鳥瞰図を載せた『三中井呉服店御案内』を発行した。

 吉田初三郎(1884年―1955年)は、彼独特の構図と彩色の鳥瞰図でしられた絵師である。彼は日本列島のあちこちにとどまらず、台北や大連の鳥瞰図も描き、とくにこの1929年は半年にわたって朝鮮半島をスケッチしていた。

 『三中井呉服店御案内』をひらくと、京城を描いた極彩色の「三中井呉服店を中心とせる大京城案内鳥瞰図」がひろがる。右に横浜−東京、左に奉天−大連がみえる広角の光景のなかで、京城駅よりも総督府庁舎よりも巨大に変形して描かれたのが三中井呉服店店舗だ。

 このリーフレットをうらがえすとみえる三中井京城本店の断面図からは、三中井の店舗にはエレベータや食堂があり、屋上には「子供の国」が設けられていたことがわかる。最新の装置を備えた、大人から子どもまでが買い物や遊びを楽しめる娯楽施設だ。

 初三郎の鳥瞰図がひろがる三中井の宣伝広告は、京城市街図、名所旧蹟の写真、時刻表、「京城市内遊覧」が載る、京城観光案内でもあった。

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